【短編ホラー小説】バツバツ罰

短編ホラー小説 バツバツ罰小説・書き方

【短編ホラー小説】バツバツ罰

あらすじ

壱──この世界は悪いことをすると何者かによって罰が与えられる

弐──その罰の内容は罰を受けた者にしか分からない

参──彼はそんな世界で人を殺すことにした

読者からの感想

以前応募したコンテストで審査員から頂いた感想です。参考にどうぞww

本文

※漢字などの後ろにある()の中はルビです。

例:聖剣(エクスカリバー)

短編ホラー小説 バツバツ罰

【1】:決意

────1週間前。
僕の唯一の友人が死んだ。

死因は自殺。
自殺の理由はいじめだった。

人を死に追い込んだ奴らには相当なバツが与えられると信じていた。

だってこの世界では『悪いこと』をしたら『バツ』が与えられるから。

そう。この世界では悪いことをしたら何者かによってバツが与えられる。そのバツの内容はバツを受けた人間にしか分からない。

僕も実際にはバツを見たことがない。だから本当にバツが与えられているのかと疑う人もいる。

でもそんな世界になってから窃盗・強姦・暴行とあらゆる犯罪が消滅していった。

みんなバツを恐れたんだ。

バツという悪を裁く!
目に見えない絶対的な正義が!
世界に平和をもたらした!

──それなのに。
なのに、なのに……なのにっ。

なのに! なのに! なのに!

なのに──僕の友人をいじめた奴らには何のバツも与えられなかった。

奴らは今日も何事もなかったかのように僕の視界の中で笑って、僕と同じ空気を吸って過ごしている。

当然そんな現実に納得がいかない。だから偉い人に聞いてみた。

そこで言われた罰が与えられなかった理由。それは──

〝言葉で人を傷つけるのは悪いことではないから〟

「言葉は目に見えない。故にどれだけの傷を人に与えたのか分からない。また、言葉が人を死なせる動機になるのは考えられない」

そう言われた僕は決めたんだ。誰も奴らにバツを与えられないなら僕がバツを与えると。

友人は自殺をした。いや、自殺じゃない。あれは殺されたんだ。あいつらに、あいつらの言葉に殺されたんだ!

人を殺した奴に与えられるバツはどんなバツが適当だろうか?そんなのは考えるまでもない。

人を殺したんだ。
殺したなら殺されるのが普通だろ?

そうだよ!人を殺したならそいつは殺されるべきなんだ。

だから僕は奴らを殺す。
この世界で人を殺すことは最も大きな『悪いこと』。

僕が奴らを殺した後、当然僕も最も大きなバツを受けることになる。

でもそれで良いんだ。
それがこの世界の当たり前だから。それに──

あいつらが生きたままの世界で生きているなんて、僕には無理だよ。

死んで天国で君と生きたい。
ああでも、僕が行くのは地獄になってしまうのかな?

【2】:計画

バツを与えるターゲットは3人いる。誰からバツを与えようかとても悩むがそもそも僕は3人も殺すことが出来るのだろうか?

だって1人を殺したらその時点でバツを受けることになる。どんなバツかは分からないけどきっと、僕はもう動く事は出来ないと思う。

いや、生きていられないんじゃないかな。

Twitterの噂では盗みをした悪い人は体のどこかを失って、人を殴った悪い人はコンクリートを顔の上に落とされたという。

だから人を殺したらやっぱり、殺されるしかないんだろうな。

「1人にしかバツを与えられない。ごめんね」

なら奴ら3人の中のリーダーにしよう。あいつなら今後もいじめを続けるに違いない。

次の僕と天国の君が出る前に裁かれるべき奴を僕が殺してやる。

【3】:イメージ

どうやって殺そうか。殴る? 毒? 焼く?

「 人の殺し方 」 って、検索すると面白いほど色々出てくるけど冗談のものやそれを止めようとしてくるものばかりで参考にならない。

けど殺し方なんて教わらなくても分かる。サルでも知ってる生き物の常識。生き物は傷を与え続ければいつか死ぬ。

人間の僕には喉を掻っ切る爪も、胴体を貫く牙もない。けどもっと良いものが手元にある。

普通にさ包丁(これ)で刺せば良いんだよ。

心臓を刺して、頭を刺して、刺して刺して刺しまくろう。心臓が裂かれて血が溢れればライオンだって死ぬだろう?

試しにいつも使っている枕を刺してみたがこれは凄いぞ。なんて気持が良いんだろう!! なんの抵抗もないところに刃が吸い込まれていく。

ガチャで最高レアが出た時、あいつと一緒にマルチで強敵を倒した時のような快感だ。

包丁を持つ以外の力はいらない。前へ進めるだけで枕へと切り込む。形あるそれが簡単に壊れていく。

それを見るとつい、にやけてしまいそうになる。さて、これを人間でやったらどうなるのか。

どうしよう・・・。
不安だったはずなのに殺すのが楽しみになってきだぞ。

【4】:歪み

今日、奴を帰り道で殺す。

昨日の夜は包丁を可愛がった。
綿棒を使って僕の息をかけて手入れして布の上に寝かせた。

それの隣に友人と一緒に寝るように布団をかぶった。朝起きたら「おはよう」と声をかけまた磨いて布という服を着させる。

殺人の練習は脳内で何回もした。心の準備は万端。

奴がいつも通る帰り道の中でもここは人通りや街灯がない道。誰にも邪魔されずに気の済むまで殺しが出来る最高の場所。

まるで神様が僕のために用意してくれたかのような舞台だ。

ああ、心臓が興奮してる。興奮しすぎて血を吐きそうだ。早く来い。僕はお前を殺したい。

──布団の中で横になった時、こんなことをして天国のあいつが喜ぶのか考えた。

優しいあいつは僕がこうすることをきっと喜ばない。自分が刺されてでも僕を止めるだろう。

けれどそもそもだ。
僕が人を殺して喜んでくれる人は誰一人としていないだろう。

もしもいるとしたらそれは殺す人間──そうだ僕だ!

この包丁を持っている僕自身が喜ぶんだ。この殺しは僕以外の誰か、両親や先生ためじゃない。僕のための殺人だ。

僕はこれをやらないと、気が済まないからやるんだ。利害も損得も何にもない。ただ純粋に、奴を殺したいんだ。

それに僕がこうすることで『悪いことをしたらバツが与えられる世界』が守られるだろう?

バツがあるこの世界は素晴らしいじゃないか。僕はこの素晴らしい世界を守りたいよ。

だって「悪いことをしたら悪いことが返ってくる」ってみんながそう習っただろう?

【5】:実行

──来た。 奴が来た。
人を殺しておいて、よくも平気な顔をして外を歩けるものだ。

にしてもスマートフォンという物がこの世に出てきて良かった。おかげで奴は自分の手の中しか見ていない。

目の前に包丁を向けている僕がいるのに平気で歩いて進む。

このまま歩いて来てこいつが自分から刺されると思うと笑えてくる。でも、そんな長生きはさせない! お前は早く──

「死ぬべきなんだあああああ!」

 

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